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2012年4月26日 (木)

「おそらく」史上最大の日食限界線観測?

金環日食まで一ヶ月をきり、ずいぶんと忙しくなってきた。

いま、私はこんなプロジェクトを進めている。
みんなで日食マップをつくろう
これは金環日食限界線研究会によるものである。
いずれまとめなくてはならないので、このブログを使って文章をまとめておこうと
思った次第。

金環日食の限界線観測を大規模に行うのは「おそらく」史上初めてである。

おそらく、というのは、過去の例を調べ切れていないからである。
日食の経験豊富な先輩方に聞いてまわっても「うーん、きいたことないですね」
という返事があるので「おそらく」と言っている。もし実例があれば
ぜひ教えてほしい。

ちなみに大規模でない限界線観測は前例がある。
1987年、沖縄で金環日食が見られたとき、限界線が通過する島で観測したという
事例がある。(今はなき)月刊天文1987年12月号に記載されている。
相馬充先生も参加していたそうだ。
相馬さんは今回、私たちが限界線の予報にてたいへんお世話になっている
天体位置計算を専門とする研究者だ。
とてもよい人柄で、初歩の質問にも丁寧に答えていただいてもらい、
なにかと感謝する場面が多い。

(このたびの金環食の予報では相馬さんと早水さん(せんだい宇宙館)による予報
 もっとも精密である。いずれ述べることになるとおもうが、今回の限界線観測では高精度で
太陽半径を求めるという面白いチャレンジがある。これは相馬さんと早水さんと私が
2011年9月末の深夜に大量のマニアックなメールのやり取りの中から生まれた着眼点だった)

さて、先日三鷹で金環日食シンポジウムが開催された。このときの懇親会で
限界線観測について大越治さん(過去に皆既や金環日食を40回以上観測されている
日食観測の超人)に聞いてみた。
大越さんもとても優しい方で、とても親切におしえてくれた。

金環日食では限界線観測を大規模にやった例は聴いたことがないとのことだった。
ただし、大越さんによると、皆既日食では前例があるとのことで、これはこれで驚きだった。
大越さんによると、鈴木敬信著の日食・月食という書物(戦前に発行)に記述があったと
のこと。幸い、我が家にこの本を蔵書していたので、帰宅後早速調べてみた。

すると皆既日食については一般人による限界線観測が1925年、1930年、1932年に
小規模ながら行われたとのことであった。

特に1932年にカナダにてマックギル大学の日食隊の観測は非常に興味深い。
依頼された254名の少年団が影の限界線の位置を確かめたそうである。
全体を8組に分かち、各組ごとに一列にならびその中間を限界線を切るように
したところ一部は雲のため失敗したが残りの一部から限界線の位置を確かめるに
足る回答を得たとのこと。

注目すべきはそのあとのコメントである。
「この種の試みでは皆既日食が見えないと推定される所へはだれも行きたがらない
ので多く失敗する。日食が見られなかった少年たちはいずれも不機嫌であった」

少年の気持ちはよくわかる。大越さんも笑いながらそうおっしゃっていた。
しかし幸いにも?金環日食ではその心配は少ないと思う。
(皆既ー部分の差と比較して金環ー部分の差は実に小さい)

その意味でも、金環日食は多くの人々を巻き込んだ限界線観測に
適しているのではないか、と思う。

というわけで、金環日食の例はまだ調べられていないが、
相当なベテランに聞いて回っているので
「金環日食で一般人を多く巻き込んだ限界線観測は初めて」と
と「おそらく」いえるかな、とおもう。
ない、ということを調べるのは大変だ。

もうちょっと風呂敷を広げると、254名以上の報告があることは間違いないので
「史上最大の日食限界線観測」といえるんではないかな、と思っている。
でも晴れないとだめだけど。

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